CASIOから4月に発売された600万画素のデジタルカメラ。発表当初からE4300に変わるデジスコ標準機になり得るのでは? と、話題になっていたカメラです。ちょうど、マニュアル機能が充実したコンパクトデジカメが欲しかったので、発売後、即入手しました。当然、デジスコでの使用も視野に入れています。このページでは、デジスコでのテストを中心に書いていきたいと思います。果たして、デジスコとの相性は・・。 |
|
4月17日のテスト
この日の機材構成
フィールドスコープ |
KOWA TSN-4N |
アイピース |
KOWA TSE-14W (30倍ワイド) |
KOWA TSE-17HB (25倍ロングアイレリーフ |
アダプタ |
KOWA TSN-DA1
KOWA 52mmリング
KENKO 58mm->52mm ステップダウンリング
CASIO LU-60A (テレコン用アダプタ) |
デジタルカメラ |
CASIO EXILIM PRO EX-P600 |
カメラレンズとアイピースとの距離は、カメラ側が望遠端の状態で鏡筒がアイピースに
激突する寸前まで近づけています。レンズ面同士2mm〜3mmぐらい。
ワイド側に移動すると、最大でレンズ面同士の距離が15mmぐらい開きます。
テスト画像
 |
 |
TSE-14W |
TSE-17HB |
TSE-14W
(30倍ワイド) |
ご覧のとおり、お話にならない状態です。 |
TSE-17HB
(25倍ロングアイレリーフ) |
望遠端近くでもわずかにケラレてしまいます。
ただ、ケラレを避けてトリミングをしても500万画素程度残せるので、
きれいに撮れれば使えそうです。
ただ、このアイピース設計が古いため、明るい色の対象物は滲んで
しまいます。 |
|
4月18日 デジスコ講習会(東京港野鳥公園)でのテスト
この日の機材構成
フィールドスコープ |
TSN-604 |
|
TSN-824 |
|
アイピース |
TSE-14WD (新30倍ワイド) |
|
TSE-17HD (新25倍ロングアイレリーフ) |
|
Turbo Adapter 20XWFA-P |
|
Turbo Adapter 30XWFL |
|
TSN-VA1 |
|
アダプタ |
KOWA TSN-DA1
KOWA 52mmリング
KENKO 58mm->52mm ステップダウンリング
CASIO LU-60A (テレコン用アダプタ) |
|
デジタルカメラ |
CASIO EXILIM PRO EX-P600 |
|
※ 今回のテストは、複数のアイピースを試すことが出来た反面、ほとんどが借り物機材
ということもあり、充分なテストを行えたは言い切れませんが、アイピースごとの傾向
は出ているともいます。
アイピースと各倍率毎の状態
|
1x |
2x |
3x |
4x |
備考 |
TSE-14WD |
× |
× |
× |
× |
全域で大きなケラレが発生。 |
TSE-17HD |
× |
× |
△ |
△ |
望遠側で少々のトリミング前提 |
20XWFA-P |
× |
× |
× |
× |
全域で大きなケラレが発生。 |
30XWFL |
△ |
× |
× |
× |
ワイド端でアイピースに押し付けた状態でトリミング前提 |
TSN-VA1 |
× |
○ |
○ |
○ |
焦点距離が短い。550mm〜1050mm程度。 |
TSE-14WD |
TSE-14WBよりも、若干ケラレが少なくなっただけ。今回のテストでは使える目処は立ちませんでした。アイレリーフが17mmから20mmに変更され、レンズもかなり大きくなっていたので期待していたのですが・・。
ただ、試していないパターンもあるので、NGはまだ出しません。 |
TSE-17HD |
TSE-17HDよりも、見かけ視界が広がっている為、ワイド端のケラレの量はだいぶ減っています。ただ、中望遠域で周辺減光が広がり、望遠域でもわずかにケラレが残ってしまいます。
しかし今回のテストでは必ずしも、結果は良好とはいえませんが、まだ改善する余地があるかもしれません。
画質も大幅に改善されているので今後のテストでは、このアイピースを中心にチューニング(?)していくことになると思います。 |
20XWFA-P |
まずは望遠端まで伸ばした状態で接続、ワイド端まで引いてみましたが、全域で大きなケラレが出てしまいました。
ワイド端、中望遠の状態で、押し付けたりアイピースとの距離を変えたりといろいろ試してみましたが、良い状況は得られませんでした。
EX-P600と20XWFA-Pの組み合わせは残念ながら完全にNGです。 |
30XWFL |
20XWFA-Pと同様のテストを行いました。
ワイド端で距離を詰めた場合のみ、ケラレが少なめでトリミング前提(400万画素前後残せそう)で使えそうでしたが、それ以外はダメでした。
EX-P600と30XWFLとの組み合わせも限りなくNGに近い状態です。 |
TSN-VA1 |
2倍辺りから望遠端まで、ケラレ無しでつかえます。が、このアイピースでは想像できていた結果です。主に10倍機やデジタルビデオカメラでの使用を前提に設計されているため、倍率が8倍(TSN-824では8.7倍)と低く、EX-P600のような4倍機ではデジスコの魅力が半減してしまいます。シャッター速度を上げて、動きの激しい被写体やトビモノを狙う場合以外はあまり使い道がありません。 |
テスト画像 (比較的状態の良かった2つのアイピースを掲載しています。
 |
 |
TSE-17HD
左上から、7.1mm、7.8mm、9.2mm、11.3mm、14.2mm、19.2mm、23.4mm、25.6mm、28.4mm。
旧型のTSE-17HDよりは、ケラレの少ない領域の幅が広いようです。画質の方は窓ガラスを通して撮った画像なのに、窓ガラスを通さないで撮った旧型より良いですね。 |
TSN-VA1
左上から、16.3mm、19.2mm、23.4mm、25.6mm、28.4mm。
2倍辺りからケラレはなくなりますが、アイピースの倍率は8倍(今回のテストではTSN-824を使用しているため、8.7倍)のため、4倍ズーム機ではデジスコの魅力は半減してしまいます。
トビモノを撮るときぐらいにしか使わないかな・・。
|
※ この日用意されたKOWAの新アイピースは、TSN-4Nに装着できないものだったので、
TSN-604を、びんさんからお借りしました。
※ Turbo Adapter 20Xは、TSN-604ごと、冨田さんの機材をお借りしました。
※ Turbo Adapter 30Xは、eg800さんからお借りしました。
※ TSN-824 & TSN-VA1、TSE-14WD、TSE17HDは、KOWAの方が体験用に持参した機材を
使わせていただきました。
ご協力ありがとうございましたm(__)m
次回のテスト予定:
4月24日:秋ヶ瀬公園 & 彩湖にて
|
4月20日 暇つぶしテスト
この日の機材構成
フィールドスコープ |
KOWA TSN-4N |
アイピース |
KOWA TSE-17HB |
アダプタ |
KOWA TSN-DA1
KOWA 52mmリング
KENKO 58mm->52mm ステップダウンリング
CASIO LU-60A (ワイコン用アダプタ) |
デジタルカメラ |
CASIO EXILIM PRO EX-P600 |
17日、18日の結果があまりに惨憺たるものだったので、仕事から帰ってきた後、
家で手持ちの機材で再度テストしてみました。今回はテレコン用アダプタではなく、
ワイコン用アダプタを使用しました。
ワイコン用アダプタの場合、TSN-DA1を含めたアダプタの全長が短くなり、望遠端で
落下の危険が出てきます。しかし、ワイド端や中望遠域で、アダプタをスライドできる範囲が
広がり、アイピースとカメラレンズとの距離の調整がしやすくなります。
結果は以下の写真のようになりました。ズームするたびに、アダプタを少し動かしつつ
一番いい状態を撮影しました。
なんと、2倍から4倍手前あたりまで、ケラレが消えています。4倍(望遠端)もわずかのトリミングで
使用可能です。
少し希望が見えてきました\(^o^)/
今後の課題:
ワイコン用アダプタを使用すると、EX-P600はズームが出来なくなります。
フィルターネジのところにスイッチがあり、テレコン用アダプタはこれを押し込むように
なっていますが、ワイコン用アダプタはこのスイッチに届かないようになっています。
スイッチはとても小さく、扱いを間違えれば壊れて永久にズームできなくなる恐れがあります。
デジスコで使用するには、この点を如何に克服するかにかかってきます。
アダプタを自作する必要があるかもしれません。
ズームするたびにレンズ間の距離を変えなければならないという点は、KOWAのDA-1を
使用している分にはそれほど苦になることではないと思います。
次回のテスト予定:
4月24日:秋ヶ瀬公園 & 彩湖にて
|
4月24日 ・・・・もうテストじゃない?
この日の機材構成
フィールドスコープ |
KOWA TSN-4N |
アイピース |
KOWA TSE-17HB KOWA TSN-VA1 |
アダプタ |
KOWA TSN-DA1
KOWA 52mmリング
KENKO 58mm->52mmステップダウンリング
CASIO LU-60A (ワイコン用アダプタ) |
デジタルカメラ |
CASIO EXILIM PRO EX-P600 |
20日に使用できる目処が立ってしまったので、本格的な撮影に切り替えました。
風が強かったので、彩湖は諦め、秋ヶ瀬公園だけ。
撮影した写真の一部(リサイズしていません。とても重たいです)。
キビタキ1 キビタキ2 キビタキ3
使い勝手云々は、まだ充分操作を覚えていないのでなんともいえません。
あせって失敗写真を連発しましたが、うまくいったときの写真はなかなか良い感じです。
使ってみて、良い点と悪い点をざっと挙げておきます。
良い点:
・AFがなかなか速い。
・ワイヤレスリモコンのおかげで手ぶれは発生しない(機材ブレはおきます)。
・AF測定位置を自由に選べる。
・レリーズラグをほとんど感じない。
悪い点:
・電源が切れると、リモコンの受付がリセットされてしまう。
・マニュアル露出を行わない人にとっては、マルチパターンか中央重点、中央スポットしかない
測光方式も不満になるかも・・。
|
5月6日 新アイピースと旧アイピースとの比較
この日の機材構成
フィールドスコープ |
KOWA TSN-4N |
アイピース |
KOWA TSE-17HB (旧型25倍ロングアイレリーフタイプ) |
|
KOWA TSE-17HD (新型25倍ロングアイレリーフタイプ) |
アダプタ |
KOWA TSN-DA1
KOWA 52mmリング
KENKO 58mm->52mmステップダウンリング
CASIO LU-60A (テレコン、ワイコン用アダプタ) |
デジタルカメラ |
CASIO EXILIM PRO EX-P600 |
旧型の25倍、新型の25倍のアイピースの比較テスト。
天気が悪く、外ではろくな写真が撮れなかったため、室内で再テスト。
テストは、ワイコン用のアダプタを使用して行いました。
ワイコン用のアダプタはズームが出来なくなる為、デジカメ側のフィルターネジの横にある
ズーム禁止スイッチを爪で押し込み、ズーム操作を行いました。
焦点距離が変わるたびに、アダプタを前後にスライドさせて、アイピースとデジカメの
レンズ間の距離を調節しています。
(モデルはオオタカに食われたチョウゲンボウの羽です(^_^;))
 |
 |
TSE-17HD(新型25倍) |
TSE-17HB(旧型25倍) |
旧型と比べてレンズも大きくなり、見掛け視界も1.5倍ほど拡大しています。ケラレは広角端から1.5倍あたりでほぼ解消します。1.5倍当たりで現れるケラレはアダプタ(TSN-DA1)によるものなので、アダプタを自作することでもう少し広角側から、ケラレ無しで使用できるかもしれません。
望遠端では、アイピースからデジカメの絞りまでの距離がかなり開いてしまう為、ロングアイレリーフタイプのアイピースでも僅かにケラレが出てしまいます。が、空抜けとかでない限りそれほど気になりません。どうしても気になるようならば、すこしトリミングすればOKです。500万画素以上残せます。
|
見かけ視界が狭い為、2倍強辺りまでケラレが発生します。それ以降は、ほぼケラレ無しで使用可能です。望遠端では、アイレリーフが足りず僅かにケラレが発生しますが、新型と同様、空抜け出ない限りそれほど気になりません。 |
参考として、新型アイピースをテレコン用アダプタを使用して撮影した結果も載せておきます。
 |
TSE-17HD(新型25倍:テレコンアダプタ使用) |
テレコン用アダプタは、アイピースとの距離を調整しにくく、ワイコン用アダプタ使用時にケラレ無しで使える領域で、周辺減光が発生してしまいます。
しかし、これも空抜けなど背景が明るい場合以外はそれほど気にならず、森の中での撮影や背景がそれほど明るくない場合はほとんど問題になりません。テレコン用アダプタはズーム禁止スイッチを気にしなくて済む為、私は普段、テレコン用アダプタを使用しています。 |
画質について:
画質については、逆光時やサギなどの白飛びしやすい被写体を撮影したときに差が出てきます。
旧型のTSE-17HBは、白い被写体の周りが青く滲んでしまいますが、新型のTSE-17HDは、
完全ではないですが、ある程度青い滲みが抑えられています。
それ以外は顕著な画質の差はありませんでした。(若干、解像度は上がっているようですが)
|
総評
テストはもう良いでしょう(^^ゞ
結論から言えば、EX-P600は、デジスコで充分使用可能です!!
少なくとも、私と同様にKOWAの機材を使用していれば・・ですが(^^ゞ
アイピースとアダプタ:
最適なアイピースとアダプタ構成
アイピース |
KOWA TSE-17HD (KOWA TSE-17HE) |
アダプタ |
KOWA TSN-DA1
KOWA 52mmリング
KENKO 58mm->52mmステップダウンリング
CASIO LU-60A (ワイコン用アダプタ) |
アイピースは25倍のロングアイレリーフタイプ。現状では、KOWAの
新アイピース(TSE-17HD,TSE-17HE)を使用するのがベストだと思います。
アダプタは、市販品でそろえる場合は、上記の表にあるものをそろえるのが
良いと思います。 ただし、LU-60Aのワイコン用アダプタを使用すると、EX-P600は
ズーム操作が出来なくなる為、これを使用する場合はカメラのフィルターネジについている
ズーム禁止スイッチを何らかの方法で押し込む必要があります。
これが面倒な場合は、多少減光が発生しますがテレコン用のアダプタの使用も可能です。
自作をすることで、さらに良好な結果を得ることもできると思います。
使い勝手やE4300との比較:
使い勝手は現在のデジスコ標準機である、NIKON E4300には及びません。
マニュアル露出に慣れていない人にとってはかなりハードルは高いと思います。
絞り優先モードやベストショットモードを使用することで、E4300と同様の使い方が
出来ないことはないですが、必要な露出補正の程度もズーム域や被写体の状態で
大きく変わってくるので、E4300を使用する上でよく言われている、[-0.7EV]を基本、
というのは通用しません。
しかし、露出が決まれば、E4300とは比べ物にならないほどきれいな写真が撮れます。
マニュアル露出に慣れている人にとっては、充分魅力のあるカメラだと思います。
E4300との比較(かなり主観が入ってます(^^ゞ)
|
E4300 |
EX-P600 |
備考 |
AFの速さ |
× |
○ |
カメラ単体での評価。デジスコで使用する場合、P600のAFは多少制限がかかるため、若干遅くなります。 |
レリーズラグ |
× |
○ |
古いE4300と比べるのは酷? |
連写 |
1.3/秒 |
3/秒 |
|
起動時間 |
4〜5秒 |
1.5秒〜2秒 |
|
歩留まり |
△ |
○ |
露出設定を大きく間違えなければ、カメラ側が意外にうまくまとめてくれます。望遠端の歩留まりがE4300よりは良いのでP600の方を優位にしています。 |
露出設定 |
○ |
△ |
基本的にマニュアル露出。慣れないと時間がかかる。
マルチパターンか、中央部の測光しか出来ない。
(マニュアル露出なら関係ないが・・) |
液晶の見易さ |
△ |
○ |
大型液晶で見やすい。 |
感度 |
△ |
○ |
ISO200までは、ノイズが少ない。(シャッター速度にもよる) |
電池寿命 |
△ |
○ |
E4300用電池の倍近く長持ちします。 |
手軽さ |
○ |
△ |
ズーム時にアダプタを調整したり、マニュアルで操作するケースが多い為、E4300ほど手軽には扱えない。 |
自由度 |
× |
○ |
マニュアル機能が充実。使いこなせれば・・・。 |
リモコン:
付属のワイヤレスリモコンは手ブレ防止に役立ちますが、半押し(AFロック状態)が出来ない為、
枝が込み入ったところにいる被写体を撮るときは、不便です。
レリーズステーを作成して、レリーズケーブルを使用するほうが使い勝手は良いかもしれません。
連写を利用して1〜2枚目を犠牲にするつもりなら、手押しで・・という手もありますが(^_^;)。
追記:AFブラケットやフリーAFをうまく利用することで、枝が込み入ったところにいる被写体も
リモコンだけでうまく撮影できます。
使用する上での注意点:
EX-P600は、ズーム操作時のレンズの移動距離が大きい為、常にアイピースとの距離を調節
する必要があります。TSN-DA1使用の場合は、以下の手順で操作します。
・DA1の固定ネジを緩め、アダプタを手前に引き、アイピースとカメラのクリアランスを広げる。
・ズーム操作を行う。
・DA1をスコープ側に押し込み、固定ネジを締める。
慣れてくれば、それほど時間はかかりません。
カメラがアイピースに激突している状態で望遠側にズームすると、液晶画面上のズームバーは
動きますが、レンズは動いていない状態になります。この状態からさらにズーム操作をすると、
カメラ内部の処理が狂って正常に動作しなくなり、常にケラレが発生するようになります。
こうなった場合は、広角端に戻して一旦電源を切ると元に戻るようです。
故障の原因になると思うので、ズーム操作時はアダプタを緩めて、確実にクリアランスを確保して
から行った方が安全だと思います。
作例:
原画です。リサイズしていませんのでとても重たいです。
テレコン用のアダプタを使用しているため、周辺減光が出ていますが
写真のような状況の場合は気になるレベルではないということが
判るかと思います。
|